第17代学長に佐々木重人商学部教授が9月1日付で就任した。2020年の創立140周年に向けてのキャンパス構想への決意と、目指すべき教育ビジョンなどを伺った。
改革の真っただ中で学長を引き受けることになりました。各学部の新しい挑戦を応援し、さまざまな意見を聞きながら、具体化出来るものから着手し、目に見える改革を進めていきたいと思います。
1番は矢野健一前学長(4月25日に急逝)がお亡くなりになる直前まで尽力されていた創立140周年に向けての神田新キャンパス整備です。既存の法学部に加え、国際系新学部を新設、生田キャンパスから商学部を移転するという骨子は固まりました。神田で3学部の魅力を享受し合える体制を実現する。これを私の第一の仕事として実行していきます。
同時に、専修大学はどのような学生を迎え入れ、どういう教育をし、社会に送り出していくのかという、いわゆる「アドミッション・ポリシー」、「カリキュラム・ポリシー」、「ディプロマ・ポリシー」を完全な形でまとめあげるのも喫緊の課題です。前学長の作業を引き継ぎ、仕上げなくてはと決意を固めています。
先般、プロ野球広島の黒田博樹投手(平9商)が日米通算200勝を達成しました。苦労した下地をとても大切にしている。理想的な卒業生の姿を見ることができます。黒田投手には今年、新入生向けのDVDにも登場していただきました。「チャレンジ」そして「あきらめない」それが学生時代に必要だということをおっしゃっています。そのメッセージは同時に専修大学のメッセージにしていきたいと思います。
自分はこの勉強を一生懸命やっているが、それはなぜかと聞かれたときに自信をもって言えることが重要です。それがしっかりしていれば社会人になってもぶれない。チャレンジし続ける胆力や根気強さを大学で見つけてほしいものです。
学生が将来望んでいる方向に近い、社会との接点をみせてあげるような授業が増えると面白いですね。学生たちに対して、今学んでいることがどのように地域や社会に貢献するのか、その可能性の一端を示すことを先生方には期待します。
グローバル化社会においてはコミュニケーション能力が重要です。特に若い時の外国の方とのコミュニケーションを通じた関係は一生ものです。人生の幅を国際的な視野で広げてほしい。具体的な内容はこれからですが、新学部ではその手助けができると思います。
創立150年を見据え、環境の変化に対応するための知恵を出し切る。そのための準備をさせていただきたい。150年に向けて生田キャンパスの魅力をさらに高めるため、新しい学部なり学科なりを整備する必要があるでしょう。既存の学部と相乗効果を発揮できるよう、若い教員が中心になってアイデアをだしてもらいたいですね。
神田キャンパスの整備にあたっては、現校舎と新校舎の融合を図り、一体化した都市型キャンパスとしての魅力を打ち出していきます。社会知性の開発に向けた新たな教育・研究拠点となるよう決意を新たにしています。
課題の一つとして、体育会に所属する学生に対してのサポート体制の構築が挙げられます。練習拠点の生田や伊勢原との距離感をなるべく感じさせないことが重要です。
今はネットが普及し、アクティブ・ラーニング型の新2号館も完成しますので、神田や伊勢原にいながらオンデマンドでSWP(スポーツ・ウェルネス・プログラム)を受講し、同時に評価も受けられるシステムを作りたい。「文武両道」、スポーツにも学問にも打ち込める環境づくりに向け、学内の各部門と相談しながら、検討していきます。
やはりスポーツが元気になると大学も元気になります。スポーツをやっている諸君が精いっぱい実力を発揮できる環境を整えることは、彼らを迎えた専修大学の責任であるし、学長としての義務だと思っています。
1978年専修大学商学部会計学科卒業。
1983年専修大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(経営学)。1983年専修大学商学部助手。1988年同助教授。1995年同教授。2013~16年商学部長。2011~13年税理士試験委員。専門は会計史。最近の著書▽「近代イギリス鉄道会計史-ロンドン・ノースウェスタン鉄道会社を中心に-」(2010年、国元書房) ▽共著「体系現代会計学第5巻 企業会計と法制度」(2011年、中央経済社) ▽共著「歴史から見る公正価値会計-会計の根源的な役割を問う-」(2013年、森山書店)
専修大学は平成31年に創立140年、また石巻専修大学は平成30年に創立30年を迎えます。学校法人専修大学では、さらなる飛躍と発展を期すため「専修大学創立140年・石巻専修大学創立30年記念事業募金」を設けて広く募集を行っております。皆様の暖かいご支援、ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。